英語長文の速読力アップに必要な2つの段階とは

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英語長文の速読は、やみくもに練習しても身につきません。
まず、速読の2段階である、
- レベル1「日本語と同じスピードで読める状態」
- レベル2「問題解答に必要な部分を拾える状態」
の存在を意識すること。
そして、それぞれのタイミングで適した速読練習をすること。
これらステップを心がける必要があります。
以上を踏まえた上で、「英語長文を速読するための勉強方法」について解説します。
Contents
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「英語長文を速読する」とは
「速読=とにかく速く読む」じゃない!
多くの受験生が、「速読=とにかく速く読むこと」だと勘違いしています。
字面からそう思ってしまうのも仕方ありません。
速読の勉強方法を話す前に、「英語長文における速読」について正しく理解しておきましょう。
「英語長文を速読する」とは具体的に、
- レベル1「日本語と同じスピードで読む」
- レベル2「問題解答に必要な部分を拾って読む」
の2段階のことを意味します。
レベル1「日本語と同じスピードで読む」
まず目指すべきレベルは「日本語と同じスピードで読む」という状態です。
小説や現代文を読むスピードをイメージしてください。
決して「速い」とはいわないですよね。
特に、センター試験や大学入学共通テストで出題される英語長文は、「アメリカの小学4年生が満点取れる」とされています。
いくらアメリカ人とはいえ、小学4年生が完答できるレベル。
次から次へと、ビュンビュン読み進めるような”速読力”なんて、大学受験ではそもそも求められていないのです。
レベル2「問題解答に必要な部分を拾って読む」
次に目指すべきレベルは「問題解答に必要な部分を拾って読む」という状態。
ちょうど、この記事を読んでいるような感覚です。
上から順に読み進めていると思いますが、1文字1文字、ていねいに、じっくりと読んでいるわけではないはずです。
上からザッとスクロールしながら斜め読みして、「ここ、重要そうだな」という部分でピタッと止まり、その前後を注意深く読む。
そして「なるほどなぁ」と納得したら、またサッサッとスクロールしながら斜め読みする。
きっとこんな読み方をしていることでしょう。
大学受験で求められる速読力は、まさにこの力。
長文の中から、問題解答に必要な「重要な部分」をパッと見つけ出す能力です。
この能力を身につけるために、
- スキミング(文章の要点を見つけ、全体の大意を掴むこと)
- スキャニング(文章の中から特定の情報を拾い上げること)
の2つを練習していきます。
速読の練習の前に
速読を練習するための資格はあるかな?
さて。
「さっそく速読の勉強方法に移りましょう!」と言いたいところですが、その前に確認してください。
- 基礎単語の習得
- 精読力の完成
は完了していますか?
具体的には、
- センターレベルの英単語が入っていますか?
- 中堅国公立の個別試験の問題を、時間をかければ完全に和訳できますか?
の2つの質問に、即「イエス」と答えられますか?
速読練習は、「基礎単語」と「精読力」が定着していないと、効果が激減します。
基礎単語の目安は、『システム英単語』の2章までの赤字訳が完璧に入っていること。
精読力完成の目安については、『受験英語の長文をどう勉強するか?まずは「精読」を徹底しよう』の記事を参考にしてください。
どちらか一方でも「まだ甘いなぁ」というのであれば、速読練習はもう少し我慢しましょう。
基礎単語力、精読力を身につけてから、もう一度この記事に戻ってきてください。
英語長文の速読の勉強方法
具体的な速読の勉強方法をマスターしよう!
それではここから具体的な「速読の勉強方法」を解説していきます。
要点は、
- 2段階レベルを下げた英文を使う
- 『サイトラ』を練習する
- 音読しまくる
- スキミング・スキャニングを練習する
の4つです。
2段階レベルを下げた英文を使う
「速読の練習をする」ということは、「精読の勉強をしてきた」はずです。
最終的には、かなりハイレベルな精読用教材も使っただろうし、「時間さえかければ、どんな文章でも和訳できる」という状態になっていることでしょう。
ですからきっと速読の練習をするときにも、難しい英文を使いたくなるものです。
しかし、はじめて速読の練習に取り組むときには、「最後に触れた精読教材よりも、2段階レベルの低い英文を使う」ようにしてください。
速読の上達に必要なのは、「理論」よりも「感覚」です。
いくら精読が完成していたとしても、「時間をかけないと和訳できない」という文章では、速読の感覚なんてまともに掴めません。
はじめての速読教材は、意地を張らずに。
戦略的に「自分の精読力から、2段階レベルを下げたもの」を選びましょう。
はじめての速読にオススメの参考書
『受験英語の長文をどう勉強するか?まずは「精読」を徹底しよう』の記事を参考に勉強したなら、最後の精読教材は『基礎英文問題精講』のはずです。
その場合は、最初の速読参考書として『速読英熟語』をオススメします。
速読練習と同時に、重要な英熟語も大量に習得できます。
CDが別売りなので、そちらも合わせて購入しておきましょう。
『サイトラ』を練習する
速読練習はまず、「日本語と同じスピードで読む」状態を目指します。
- レベル1「日本語と同じスピードで読む」
- レベル2「問題解答に必要な部分を拾って読む」
その第一段階として鍵を握るのが、『サイトラ』です。
サイトラとは「サイト・トランスレーション」の略で、「英文の意味を、前から順番に取っていく読み方」を意味します。
たとえば以下の英文を見てください。
Paul Cezanne is now regarded as one of the most important painters of the twentieth century and the father of modern art.
この英文を『サイトラ』してみます。
まず、最初から読んで、「ここまでなら、パッと和訳できる」というカタマリで「/(スラッシュ)」を入れます。
そしてその部分だけを和訳します。
Paul Cezanne is now regarded / as one of the most important painters of the twentieth century and the father of modern art.
→ポール・セザンヌは、現在、認められている /
この部分だけ和訳しても、いまいち意味が掴み切れません。
とりあえず「ポール・セザンヌって人が、何かで認められてるんだな」とだけ理解しておきましょう。
次も同じように、「ここまでなら、パッと和訳できる」というカタマリでスラッシュを入れ、その部分だけを和訳します。
Paul Cezanne is now regarded / as one of the most important painters / of the twentieth century and the father of modern art.
→ポール・セザンヌは、現在、認められている / 最も重要な絵かきの一人として /
次のカタマリによって、「あ!ポール・セザンヌって人は、すごい絵かきとして認められているんだな!」と理解できますね。
同様に、次のカタマリでスラッシュ→和訳。
Paul Cezanne is now regarded / as one of the most important painters / of the twentieth century / and the father of modern art.
→ポール・セザンヌは、現在、認められている / 最も重要な絵かきの一人として / 21世紀の /
このカタマリで、「21世紀を代表するレベルだったんだなぁ」と、さらに詳しい情報が追加されます。
そして最後のカタマリも同様にスラッシュ→和訳。
Paul Cezanne is now regarded / as one of the most important painters / of the twentieth century / and the father of modern art.
→ポール・セザンヌは、現在、認められている / 最も重要な絵かきの一人として / 21世紀の /そして現代芸術の父
「ポール・セザンヌは絵かきとしてだけじゃなく、現代芸術の父としても認められている」、ということまで分かりましたね。
これが『サイトラ』です。
前から順番に意味を取っていき、少しずつ補足を加えていくイメージですね。
サイトラは紙やノートに書く必要はありません。
カタマリごとに、
音読→スラッシュ→和訳音読
を繰り返します。
1つの文章につき、最低5回はサイトラを繰り返すように。
[最後までruby]淀[/ruby]みなく、スラスラとサイトラできるようにしましょう。
音読しまくる
サイトラが完了したら、同じ英文を使って、音声を聞きながら音読します。
音読することで、「英文を、英語のまま、前から読んでいく」ことが強制されます。
サイトラで「前から読み」を意識したことにより、「英文を、英語のまま、前から読んでいく」ことのハードルが下がります。
注意点として、必ず「音声を聞きながら」音読するように。
正しい発音、理想的なスピードを意識しながら、お手本を真似て音読練習です。
1つの文章につき、最低10回はその日のうちに音読します。
最終的に速読教材に収録されている英文は、すべて50回以上音読しましょう。
サイトラ&音読が、レベル1「日本語と同じスピードで読む」の勉強にあたります。
1冊の参考書を使って、ひたすらサイトラ&音読を繰り返してください。
途中からは英文を見ずに、音声だけを聞いて音読する『シャドーイング』に取り組んでいきましょう。
使用参考書の全文が、スラスラとシャドーイングできるようになれば、レベル1「日本語と同じスピードで読む」段階のクリアです。
スキミング・スキャニングを練習する
レベル1「日本語と同じスピードで読む」段階をクリアしたら、レベル2「問題解答に必要な部分を拾って読む」段階へと移ります。
- レベル1「日本語と同じスピードで読む」
- レベル2「問題解答に必要な部分を拾って読む」
この段階では、
- スキミング(文章の要点を見つけ、全体の大意を掴むこと)
- スキャニング(文章の中から特定の情報を拾い上げること)
の2つのスキルを磨き上げていきます。
スキミング・スキャニングのオススメ参考書
スキミング、スキャニングの習得には、『キムタツ式英語長文速読特訓ゼミ』シリーズをオススメします。
受験対策に特化したスキミング、スキャニングの方法を、はじめからていねいに解説してくれています。
キムタツ式は、
- 基礎レベル編
- センターレベル編
- 難関レベル編
の3レベルがあって、基礎レベル編の英文レベルはそんなに高くありません。
ここまで取り組んできた受験生にとっては、極めて簡単な英文に見えるはずです。
ですが、
- スキミング(文章の要点を見つけ、全体の大意を掴むこと)
- スキャニング(文章の中から特定の情報を拾い上げること)
の練習も、やはり「今の読解レベルよりも、2段階下げた英文」からスタートしましょう。
今までとはまったく異なる読解方法の練習になるので。
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最後に
最後に今回の要点をまとめておきます!
- レベル1「日本語と同じスピードで読む」
- レベル2「問題解答に必要な部分を拾って読む」
- 基礎単語の習得
- 精読力の完成
- 2段階レベルを下げた英文を使う
- 『サイトラ』を練習する
- 音読しまくる
- スキミング・スキャニングを練習する